春を待ってる

※ 美咲


なんか調子狂うかも……



「意外と、可愛いモノ作るんだな」



なんて言った貴一(きいち)の『可愛い』って声だけが、頭の中でリフレイン。ぐるんぐるんというよりも、ふわふわと浮かんで私のことを小バカにしてるみたい。



どんな返事をすればいいのかわからなくなって、つい声を荒げてしまった。
そんなつもりなかったのに、ホントは。



貴一はイジワルだ。
私が家庭科部だとずっと知ってたくせに、そんなこと言うんだから。私の不器用だって今に始まったことじゃない。
だって、貴一と私は幼馴染みの腐れ縁。
今更言われたりしたら恥ずかしいし、私を見る目を変えたりしないでほしい。



無視してやろうかと思ってたら、まだ何か言い足りなさそうな顔で私を見てるから言い返してしまったんだ。



「意外と……ってどういう意味よ、喧嘩売ってんの?」



喧嘩って何よ……
言ってしまってからすぐに反省。



貴一は聞き流してくれるものと思ってたらツッコンできて、とんでもないことを口走るから思わず。



ああ、もう!



うるさい口だ、塞いでしまえ。



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