チョコレート・サプライズ【短】
無言で与えられる威圧感に居た堪れないままペーパーバッグの中をゆっくりと覗き込むと、黄色いバラとかすみ草のプリザーブドフラワーが入っていた。
「綺麗……」
キューブ状のガラス容器をそっと持ち上げながら思わず漏れた言葉は素直な気持ちで、鮮やかなイエローと雪のようなホワイトカラーに見入ってしまう。
だけど…
程なくして自分が今置かれている状況を思い出してハッとし、慌てて目の前にいる店長を見た。
すると、どうやら私の事を見ていたらしい彼は、不自然な程ぎこちなくパッと視線を逸らした。
「あの……」
「誕生日だろ、今日」
その言葉から察すると、これは誕生日プレゼントという事だろうか。
ただ、私の知る限り、他のスタッフはそんな物を貰ってはいないはず。
「だから、やる」
理由を尋ねようとした私を遮るようにさっきと同じ言葉を紡いだ店長は、まだそっぽを向いたままだ。
心なしかその頬は赤らんでいるようにも見えて、何故だか釣られて赤くなってしまいそうなのを誤魔化す為に一番尋ね易い疑問を口にした。
「私の誕生日、知ってたんですか?」
「履歴書は見放題だからな」
「職権乱用ですよ」
「ここでは俺が法律なんだよ」
一瞬照れていたかのように見えたのは勘違いだったのか、そう言い放った店長は何とも憎たらしい顔で笑う。
いつだって意地悪で横暴なのに、憎み切れないから嫌になる。
「あ、もしかして……」
「何だよ?」
「私、この為に今日出勤させられた……なんて事はないですよね?」
「……帰るぞ。遅くなったから送ってやる」
「あっ、ちょっと!」
明らかに図星だったと言わんばかりの色を顔に浮かべた店長は、私から逃げるかのようにスタスタと歩き出した。
「綺麗……」
キューブ状のガラス容器をそっと持ち上げながら思わず漏れた言葉は素直な気持ちで、鮮やかなイエローと雪のようなホワイトカラーに見入ってしまう。
だけど…
程なくして自分が今置かれている状況を思い出してハッとし、慌てて目の前にいる店長を見た。
すると、どうやら私の事を見ていたらしい彼は、不自然な程ぎこちなくパッと視線を逸らした。
「あの……」
「誕生日だろ、今日」
その言葉から察すると、これは誕生日プレゼントという事だろうか。
ただ、私の知る限り、他のスタッフはそんな物を貰ってはいないはず。
「だから、やる」
理由を尋ねようとした私を遮るようにさっきと同じ言葉を紡いだ店長は、まだそっぽを向いたままだ。
心なしかその頬は赤らんでいるようにも見えて、何故だか釣られて赤くなってしまいそうなのを誤魔化す為に一番尋ね易い疑問を口にした。
「私の誕生日、知ってたんですか?」
「履歴書は見放題だからな」
「職権乱用ですよ」
「ここでは俺が法律なんだよ」
一瞬照れていたかのように見えたのは勘違いだったのか、そう言い放った店長は何とも憎たらしい顔で笑う。
いつだって意地悪で横暴なのに、憎み切れないから嫌になる。
「あ、もしかして……」
「何だよ?」
「私、この為に今日出勤させられた……なんて事はないですよね?」
「……帰るぞ。遅くなったから送ってやる」
「あっ、ちょっと!」
明らかに図星だったと言わんばかりの色を顔に浮かべた店長は、私から逃げるかのようにスタスタと歩き出した。