チョコレート・サプライズ【短】
本当は、バレンタインが誕生日だというのは、ほんの少しだけ損をしているような気がしていた。
今日を迎えた直後から友人達はメールや電話でちゃんと祝ってくれたし、昨日までにプレゼントだって貰っている。
実家暮らしだから、家に帰ればきっとバースデーケーキだって用意されているだろう。
毎年恒例の、チョコレートクリームがたっぷりのホールケーキだ。
それでも、自分の誕生日の日に世間では大きなイベント事があるというのは、何となくその日だけの主役感が薄れてしまうような気がしていたのだ。
現に、学生時代には友人に彼氏がいると当日にパーティーを開いて貰える事は無かったし、そういう年には当日にお祝いして貰える他の友人が羨ましくも思えた。
だけど…
散々な1日だと思っていた今日、こうして祝って貰えた。
その相手が微妙な人だというのは置いておけば、プリザーブドフラワーという可愛いプレゼントは私のツボを見事に押さえているし、もっと言えばとても嬉しかった。
ある意味、サプライズのようなもの。
それが店長がプロデュースしてくれたものだという事だけが残念だけど、それでも緩む頬が素直な気持ちを物語っている。
「あ、そうだ」
だからこそ、何故プレゼントをくれたのか余計に知りたくなって口を開こうとした時、ドアに手を掛けようとした店長が絶妙なタイミングで呟いてから振り返った。
「お前、ホールのチーフやらない?」
「え?」
「再来月に2号店出すから、俺以外にも仕事出来る奴があっちに欲しいんだよ。チーフなら正社員にしてやれるし、お前だってずっとフリーターしてる訳にはいかないんだから、有難い話だろ?あ、俺はここと2号店を行き来するんだけどな」
突然の申し出に驚く私に、店長はしっかりと高い自己評価を紡いだ後で要点を並べた。
今日を迎えた直後から友人達はメールや電話でちゃんと祝ってくれたし、昨日までにプレゼントだって貰っている。
実家暮らしだから、家に帰ればきっとバースデーケーキだって用意されているだろう。
毎年恒例の、チョコレートクリームがたっぷりのホールケーキだ。
それでも、自分の誕生日の日に世間では大きなイベント事があるというのは、何となくその日だけの主役感が薄れてしまうような気がしていたのだ。
現に、学生時代には友人に彼氏がいると当日にパーティーを開いて貰える事は無かったし、そういう年には当日にお祝いして貰える他の友人が羨ましくも思えた。
だけど…
散々な1日だと思っていた今日、こうして祝って貰えた。
その相手が微妙な人だというのは置いておけば、プリザーブドフラワーという可愛いプレゼントは私のツボを見事に押さえているし、もっと言えばとても嬉しかった。
ある意味、サプライズのようなもの。
それが店長がプロデュースしてくれたものだという事だけが残念だけど、それでも緩む頬が素直な気持ちを物語っている。
「あ、そうだ」
だからこそ、何故プレゼントをくれたのか余計に知りたくなって口を開こうとした時、ドアに手を掛けようとした店長が絶妙なタイミングで呟いてから振り返った。
「お前、ホールのチーフやらない?」
「え?」
「再来月に2号店出すから、俺以外にも仕事出来る奴があっちに欲しいんだよ。チーフなら正社員にしてやれるし、お前だってずっとフリーターしてる訳にはいかないんだから、有難い話だろ?あ、俺はここと2号店を行き来するんだけどな」
突然の申し出に驚く私に、店長はしっかりと高い自己評価を紡いだ後で要点を並べた。