未来ーサキーの見えない明日までも。
 自分は幸せ者だと祥花は思った。理解ある父がいて、心配してくれる弟がいて、支えてくれる人達がいる。

 そう思うと、これから先どんな事も乗り越えて行けるような気がした。


「お父さん、私、夢があるんだ」

「子どもに関わる仕事をする事だろ」

「ううん、それじゃなくて」

「ん?」

「いつか、世界一大好きな人から、お母さんみたいに愛される事」


 ついさっきまで子どものようにはしゃいでいた祥花が、大人びた微笑を浮かべ、祥多を見つめた。


 祥多は驚き目を丸くし、我が子を見る。


 ──本当に、うかうかしていたら子どもはあっという間に大人になってしまう。


「そうか。サヤなら叶うさ」

「うん」


 昼間より涼しい中、ゆったりとした時間が流れていった。















 待ち合わせの屋台前に全員が揃うと、少しして花火が上がった。夏の夜空を彩る。

 色鮮やかな花火を見上げながら、これぞ夏の風物詩──と皆がそれぞれに思う。


 轟音さえも気にならないほど美しい花火に、会場にいる全員が見惚れる。


 夏の夜は騒がしく、喜楽に包まれながら過ぎていった。





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