未来ーサキーの見えない明日までも。
 明日は祥花主催の毎年恒例のクリスマスパーティーがある。

 いつから始めたのかはうろ覚えだが、子ども達だけのクリスマスパーティー。一人当たり五百円の会費を徴収し、一品持ち寄りの下行われる。


 お花見パーティーは花園で、クリスマスパーティーは時枝でと妙な相互関係が保たれている。

 今の所、いつもの五人でのクリスマスパーティー。


 達樹、祥花、克利の分は用意した。残るは奏多のプレゼントのみ。

 そう意気込み、再び肩を落とす。


 いろいろとこだわりすぎて用意出来なかったらどうしようかと不安になる。


(ほんと奏多の事になるとダメダメだなぁ、私)


 自覚している分、気持ちは少しばかりは楽になる。


 いつもの高校前で停車するバスに乗り込み、奥へ進んだ。

 中は通勤通学者で満席。その上、吊革に掴まり立っている人も多い。

 乗り始めてからもう九ヶ月近くなるが、この圧迫感溢れる朝のバスには一向に慣れない。


「おはよ、みっちゃん」


 美月が乗車してから三つ目のバス停から乗り込んで来た少女が美月の隣に並んだ。

 中学校からの付き合いになる木村しずか。今でも同じクラス。

 愛らしい容姿に人懐っこい性格から、老若男女問わず誰からも愛される少女だ。


「おはよ」

「あ、そのピン可愛いね。よく似合ってるよ」


 にこっと清楚な笑顔で言うしずかに、美月は若干頬を引きつらせた。しずかはどちらかと言うと、苦手なタイプだ。


「……ありがと」

「ふふ。みっちゃん、明日のボーリング参加する?」

「しない」


 クリスマスイヴのボーリング。よくある独り身同士が集まって慰め合うあれだ。


「て事は、やっと彼氏ができたんだね?!」


“やっと”という言葉を強調され、美月は青筋を立てる。


「作らないだけだから」

「えー、もったいなぁい。みっちゃん美人なのにー」


(アンタには負けるよ)


 心中静かに呟きながらも、浮かべた笑顔をそのままにする。
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