未来ーサキーの見えない明日までも。
 祥花の返事に原はやっと笑顔を見せる。


(う、わっ。可愛いー)


 笑った顔は幼さが残っていて、とても愛らしかった。


 原と共に祥花は、珈琲メーカーのチェーン店である店に入る。

 カプチーノやラテなど、様々な種類の珈琲が飲める店だ。専門店なだけあって、値段は割りと高い。

 田舎の学生にはあまり手が出せない代物である。


「何飲みますか?」

「えっと、じゃあホットで」


 祥花は一番安い普通の珈琲を選ぶ。


「ホット珈琲二つ」

「はい。少々お待ち下さい」


 笑顔を振り撒く女性店員は注文の品を準備する。


「あの、原君? 私自分で出すからさ」

「いえいえそんな、お呼び立てしたのは俺なんですから! 出させて下さい!」

「気にしないで、大丈夫だから」

「や、ほんとお願いします!」

「あ……はい。じゃ、ありがたく」


 安堵したように笑顔を見せる原。祥花は引き攣った笑みを浮かべた。

 出させて下さいと請われたのは初めてで、どう対応していいのか分からない。


 料金を支払い、ホット珈琲を受け取った原は奥の空いている席に着く。


「ここで良いですか?」

「あ、うん、どこでも」


 ホット珈琲をテーブルに置いて祥花は席に着いた。


 向き合う二人の間を漂う雰囲気は、どこかしら重い。

 どうすれば良いのだろうかと祥花が思案する中、原が先に口を開いた。


「済みません。ほんと、急にお呼び立てして」

「ううん、大丈夫。それより、話って…?」

「はいっ。あの、俺……これを渡したくて」


 スッと差し出されたのは、四角い袋。メリークリスマスと書かれている事から、クリスマスプレゼントだという事が窺える。


「え? …私に?」

「はい。受け取って下さい」

「や、でも…私達、初対面だよね?」


 祥花の言葉に、原は微かな笑みを浮かべて首を振る。
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