ちょこれーとは手渡しで
「用が済みましたらお帰りください」
仕方なくといった風に綺麗な敬語で淡々という彼を見上げる。少し前に流行った塩がお男子と蛇がお男子を足したような、、つまりは私の好みドストライクの顔をしたこのだだっ広い家の主東條ハク(本名ではない)
相手にするのも面倒くさい、そう顔に書いてはあるのを見て少し気落ちする。
この人は照れたり声をあげて笑うということをするのだろうか。
なんだかんだ出してくれたココアを手に取り、向かいのソファで珈琲を啜る彼をガン見する。
その視線を完全に無視され、、ますます気落ちしながら本題に入る。
「ハクさん」
「…………なんでしょう」
だーかーら!!そんな嫌そうな声で答えないでーーーっ!!そう言いたいのを堪えてにっこり笑う。
「今日がなんの日だか知ってますか?」
「…………さあ?」
「2月14日、バレンタインですよ!!」
「それで?」
そりゃあ、反応が来るとは思ってなかったけどさ…それにしても無表情とは如何なものか。
今に始まったことじゃないけどさ
「だから、チョコレート作ってきたんです。」
「……それは、ありがとうございます」
拒絶されなかったことに嬉しくなって更に言う。
「感想聞かせてくださいね」
「用は済んだようですね」
さっと立ち上がり玄関にエスコートしようとする、それが私を出迎えてくれるためだったらどんなにいいことか。
立ち上がらない私に背後の彼が不機嫌な顔をしているであろうことが察せられた。
「……ハクさん、」