星に願いを
「ああ、そうそう」
その人はとても低い声で思い出したように呟いて
冷たい、窓の外の景色に目をやった。
「君たちの担任の先生、いたでしょ。
豊田先生。
知ってのとおり、産休に入られたので
代わりに俺が赴任したから」
丁寧なのか
砕けているのか
よくわからない口調で言った。
いや、ちょっと待った。
赴任…ということは、この人は
先生…?
嘘だ。
今目の前にいる人は
"先生"なんてガラじゃなかった。
着ている服は
ところどころ微妙にシワがよっていて
その人が華奢なせいか、少しサイズがあっていなくてぶかぶかのカーディガン。
袖なんてあまり放題で
指の第一関節までが袖で覆われている。
そして、何より顔だ。
とても、先生というようには見えない顔が問題だ。
なにがって、
童顔なんだ。
きっと、私が隣に立って
「同級生です」
って言えば、なんとか黙せるくらいの。
そして
女子の私もうらやましいほどの
大きな目
白い肌
小さな鼻
薄い唇
まあ、何が言たいのかというと
とりあえず、顔立ちが整っているということ。
総合して、美形だということ。
ついでに言うと
声の低さや一人称や
雰囲気で
男性だということはわかるけど
どちらかというと女顔だということ。
こんな人が、どうして、先生なんか。
もっと、その容姿を活かせる職業があったはずなのに。
「まあ、そういうことだから。よろしく」
初対面の私に
質問の余地なんて与えずに
その人は突然
すとっと教卓から降り
廊下に出た。
私の横を通って
教室を出たんだ。
欠伸なんてしながら。
変な人だった。
もしかして、不審者?
不法侵入とか?
名前、聞いとけばよかったかも?
そんなことを思って
首をぶんぶんと振ってから
廊下を見てみても
もうその人はいなかった。
その人はとても低い声で思い出したように呟いて
冷たい、窓の外の景色に目をやった。
「君たちの担任の先生、いたでしょ。
豊田先生。
知ってのとおり、産休に入られたので
代わりに俺が赴任したから」
丁寧なのか
砕けているのか
よくわからない口調で言った。
いや、ちょっと待った。
赴任…ということは、この人は
先生…?
嘘だ。
今目の前にいる人は
"先生"なんてガラじゃなかった。
着ている服は
ところどころ微妙にシワがよっていて
その人が華奢なせいか、少しサイズがあっていなくてぶかぶかのカーディガン。
袖なんてあまり放題で
指の第一関節までが袖で覆われている。
そして、何より顔だ。
とても、先生というようには見えない顔が問題だ。
なにがって、
童顔なんだ。
きっと、私が隣に立って
「同級生です」
って言えば、なんとか黙せるくらいの。
そして
女子の私もうらやましいほどの
大きな目
白い肌
小さな鼻
薄い唇
まあ、何が言たいのかというと
とりあえず、顔立ちが整っているということ。
総合して、美形だということ。
ついでに言うと
声の低さや一人称や
雰囲気で
男性だということはわかるけど
どちらかというと女顔だということ。
こんな人が、どうして、先生なんか。
もっと、その容姿を活かせる職業があったはずなのに。
「まあ、そういうことだから。よろしく」
初対面の私に
質問の余地なんて与えずに
その人は突然
すとっと教卓から降り
廊下に出た。
私の横を通って
教室を出たんだ。
欠伸なんてしながら。
変な人だった。
もしかして、不審者?
不法侵入とか?
名前、聞いとけばよかったかも?
そんなことを思って
首をぶんぶんと振ってから
廊下を見てみても
もうその人はいなかった。