椎名君とエトセトラ(完)
「ゆりあ?」
ゆるりと顔を上げれば、前を見据えて誰かの名を呟いた椎名。
「きゃー!やっぱ豹だぁ!
豹久し振りだねぇ!」
てってってと、駆け寄ってきた女の子に目を向ければ、彼女は私なんか視界に入ってないかのように、こちらをチラリとも見ず、椎名の前に立った。
‥‥‥‥‥可愛い子。
「ゆりあ、なにしてんのこんなとこで」
「ん?文化祭の買い出しだよぉ〜!
豹は?」
「あー、俺んとこも」
ゆりあ‥‥‥‥名前で呼んでるんだ。
私には見せない笑顔で、ゆりあちゃんと話す椎名を見て黒い気持ちが私の中を埋め尽くしていく。
「てかさ、ゆりあの学校も文化祭なんだな」
「うん!そーなの!」