椎名君とエトセトラ(完)
「おいって!待てや」
うるさいうるさいうるさい。
もうすでに10メートル程離れたのに、大きな声で待てと偉そうに叫ぶうんこ椎名。
待てなんて言われて待つバカはいないのよ。
「なあって」
「おい!男女!」
たった一言。
いつも言われてるそんな些細な言葉だったけど、今の私の心を抉るには十分な言葉だった。
「水城いきなりな「っるさい!!」
「先行くって言ったでしょ!
あんたなんかずっとそこでそうしてなさいよ!!
もう話しかけないで!」
鼻の奥がツンとするし、自分勝手にも程があるし、こんな自分が死ぬほど嫌だけど、
今の私は、早くその場から立ち去ることに必死だった。
驚いた様子の椎名と、ゆりあちゃんを一瞬視界にいれたあと、目をそらすように俯いて駆け出した。
椎名とゆりあちゃんのツーショットをこれ以上みないように。