Pleasureー自由の元姫ー
一ノ瀬家
「こちらです」
数メートル先で、こちらに向かって手を振る男性一人。
「ああ、ご苦労、榊」
「いえ」
男性に応答したのは私でなく、柚木。
この男ーーー榊は柚木と美紅の実家の、使用人。
私達が車に近寄ると、榊が車のドアを開けてくれる。あら便利。
車の中に入り、息を吐く。
ふう…今の数十分でドッと疲れが。
「……結莉様、お疲れですか?」
「……その通りよ。お疲れどころじゃない程お疲れよ」
運転しながら私に声をかける榊。それにため息をつきながら返答する私。
……日本語おかしいけど気にしないわ。