Pleasureー自由の元姫ー
「それは、災難ですね」
苦笑いする榊。
災難どころの問題じゃないね、うん。
「……そういえば、柚木達の実家ってここから何分ぐらいなの?」
後ろの座席から身を乗り出し、榊に問いかける。
「5分足らずで着きます」
「早っ!」
吃驚して目を見開いた。
5分足らず?あれ、ここら辺だったっけな、柚木達の実家。……私が忘れてるだけか。
と、そこまで考えたところでひとつ頭に浮かんだ。
「なら、ここら辺…というか、あの倉庫の敷居も”一ノ瀬”のものなの?」
「そうだよ。ここ一帯は全部”一ノ瀬”が仕切っているからね」
それは、つまり。
「”一ノ瀬”が絶対権力者、そういうことね」
「そう。…結莉、すごく満面の笑みだけど何かいい事でも?」
「ふふふ……っ。すっっごくいい、いいわ。この状況」