Pleasureー自由の元姫ー
悪者も吃驚するほどの悪女の笑を浮かべた。それはもう、今にも高笑いしそうな勢いで。
「あ〜っやっぱり風向きは私に向いてるのね!いいチャンスだわ」
「結莉様ぁ?」
美紅が不思議そうに私を見ながら首を傾ける。
「あ、僕分かっちゃった。結莉の考えてること」
その反面柚木はニッコリと笑を貼り付け人差し指を唇へと持っていった。
「っお兄様教えてくださいな!お兄様だけ結莉様の考えを見透かすなんて許しませんわ!」
「教えてあーげない」
ガクガクと柚木の肩を掴み揺さぶる美紅。柚木は平然と笑ってる。それは優雅に。
「僕と結莉だけのヒミツ。ね、結莉」
……また煽るようなことを言って。
ジト目で柚木を見る。
それから一度ため息をついて、美紅を宥める。
「美紅、落ち着いて」
「結莉様!!だって、お兄様が…」
しゅん、と肩を落とす美紅。
「言うから。ね?」
「は、はい!!」
私がそう言うと先程とは打って変わってぱあっと満面の笑みを浮かべる美紅。
見えない尻尾が見えるわ…。尻尾があったら思いっきりブンブン振ってそうな、そんな感じ。
そういう私に対して単純で従順なところ、嫌いじゃない。だって、私に一途な子って可愛いもの。