え、高嶺の花が僕の彼女⁉︎
春華は旧校舎の渡り廊下のところにうずくまっていた。



「春華…」


声をかけると、ゆっくり、顔をあげた。


「なれなれしく下の名前で呼ばないで。」


棘のある言葉にキリキリと心臓が悲鳴をあげる。

春華は、よく見ると、少し痩せた気がした。

やっぱり、兄貴のことだろうか。


「ごめん……今度から矢野って呼ぶ。」


本当は、春華って呼びたい。

また、そんな僕の声にはにかんだように笑ってくれたらどんなにいいだろう。


「あと、さっきは突然ごめん。僕、本当、謝ってばっかりだけど、あのことは本当だから。」


僕は、ゆっくりと彼女から1メートルくらい離れて腰を下ろした。


「あのこと……?」

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