え、高嶺の花が僕の彼女⁉︎
「春華?」



彼女に近づき、遠慮がちに声をかけた。


彼女はそっと、狐のお面を取った。


そう、このお面のせいで彼女をなかなか見つけられなかった。

「どうしてお面?」


本当は、浴衣かわいいねとか言いたいことは他にもあった筈なのに……

どうでもよくはないが、言いたいことと違うことに話が横滑りする。


「ナンパ避け。お祭りには必需品。」



でも……



と彼女は言葉を区切った。



「もう、裕くん来てくれたから。」



そっと、背伸びして僕にお面を被せた。


心臓がドキッと跳ね上がる。
あまりにも早く動いて止まらないか心配になる。




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