え、高嶺の花が僕の彼女⁉︎
何回も立ち寄った公園。

夜の闇の中、風で揺れる二つのブランコ。


春華はベンチから立ち上がり、向かいで風に揺れているブランコに腰かけた。

「あのね…本当に、悪いのは私なの。」

もう一度、困ったように、彼女は俯いて、言った。

さっきまで、隣にあった体温はもう、隣にない。


俺は、これは嘘や冗談じゃないことを悟った。

そして、彼女の『自分が悪い』という言葉の意味も。

「誰…?」


気付いてたよ、とっくに、彼女の目に俺が映っていないことくらい。

1カ月くらい前からだっただろうか?
彼女が俺の話を上の空で聞くようになったのは?




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