え、高嶺の花が僕の彼女⁉︎
2
矢野春華
次の日はうんと早く家を出た。
兄貴と顔を合わせたくなかった。
だって、兄貴の元カノと付き合うことになったなんて。
どんな顔して、どんなタイミングで言えばいいんだ?
兄貴がいつもみたいにテレビを見ながらホットミルクを啜るとき、僕は食器を下げながら、ついでのように呟く?
兄貴が僕の牛乳とご飯を一緒にかきこむ様子をからかった時に、僕が
“ところでさ…”と切り出す?
何回シュミレーションしてもどれもしっくり来ない。
だってあり得ない、普通。
兄貴の元カノと、付き合うなんて。
それに、僕は矢野春華が言うことが信じられなかった。
兄貴が、矢野春華を振るなんて…