え、高嶺の花が僕の彼女⁉︎
そう、ストレートに言われると調子が狂う。

僕らが駅を出るとちらほらと同じ学校の奴らに会う。

荻野と歩いてるところを友達にでも見られたら面倒だ。

あいつらは幼馴染ってだけで、冷やかしたがる生き物らしい。

「歌うのは嫌いじゃないけど…」


人前で歌うのは苦手だ。


「ならいいじゃない!決まりね!」


僕のその台詞を最後まで聞かずに荻野は駆け出した。



「おい!」


そう声を上げても、荻野はもう5メートルくらい前にいたクラスメイトに話しかけている。

一緒に学校に行かずに済んだのはいいが、正直否定するタイミングを逃してしまった方が痛い。

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