イマノソラニン
大好きだから言った。
「付き合ってください。」って。

大好きだから頷いた。
「二番目でもいい?」と問われても。

彼は隠さない。
私より大事な女性がいることを。
だから私たちは友達みたいでもある。
異性の友達として変なところは、歩くときに手を繋いでいたり、「それ」以上の関係があるところぐらいだ。
彼の地元にいる本命の彼女さんは、私
のような存在がいることを知らないらしい。
そして、彼は誰よりも彼女を大切にしているんだと思う。話を聞く限り。
だけど、私という存在がありながら、大切にしてるっていうのは違うんじゃないかなって何回も思った。
でも言えない。だって私は彼と離れたくないから。私の需要がなくなれば、自然と私の居場所も彼の隣になくなる。

酷いと思う。私も、彼も。
だけど、好きだという気持ちに嘘はつけない。
逆に、好きだという気持ち以外には、いくらでも嘘はつける。
周りの人を犠牲にできる。
それが恋愛にまっしぐらな私の「恋」というものだった。

彼と一緒にいて、楽しいことも、寂しいと思ったことも、同じくらいあった。
楽しいときも、寂しいと思うときも、全部彼を愛しいと思うからだった。

彼を私だけのものにしてしまいたいと思う。
思わないわけはない。
だけど、無理なんだろうな、っていう気持ちはずっとある。
私が気持ちを伝えた時に、他の女性の存在を伝えられた時に、私が彼の一番になれる確率は、ほぼ0%になったんだと思う。

彼を好きな気持ちは、誰にも負けないし、寧ろこんな状態でも愛してると言い続けられることこそ、その証明なんじゃないかと思う。

嫌いにはなれない。
きっと、ずっとこの先。

彼が別れを告げるまで、私たちのこの気持ち悪い関係は続くんだろう。

私はいつ目を醒ますのだろうか。
この熱くてふわふわ浮いてるみたいな恋から、いつになったら抜け出せるのだろうか。


先のことはわからないけれど、
今は彼と一緒にいたい。

誰のことを考えてるかはわからない彼と、
私のことを考えてると信じたい私、
不ぞろいだから、同じじゃないから、
一緒にいたい。

「私のこと好き?」
きっと頷くだろうな、と思ったから、
斜め下からキスをした。

〈End〉
< 4 / 11 >

この作品をシェア

pagetop