依頼屋
「ねぇお父様、今日は何の演目をするの?」
明日で9歳になる少女が言う
「今日はリゼリアの好きなプリンセスの話だよ」
「ほんと!?私あの話本当に大好きなの」
その話は幼い一国の王女が王に捨てられ
色々な人と関わりながら成長し、
最後には王子と出会い、幸せに暮らすという話だ
「ああ、今回もリゼリアはプリンセス役だ。頼んだよ」
「やったあ!」
少女は花のように笑う
リゼリアは幼いながら演技力に天性の才能があった
「…ねぇ、またあの子主役じゃない」
「団長がお父様だからって、特別扱い過ぎない?」
「…ねぇ、お姉ちゃん達何話してるの?
私も入れて!」
「い、行きましょう」
少女には大人が考えることが分からなかったが
良く思われていないことは悟っていた
けれど少女はただ舞台が成功すればそれで満足だった