依頼屋

リュカは私の王子様だった


一人だった私をついてこいと言って色々な場所に連れて行ってくれた


彼は山が好きだった


一日中川のせせらぎや木のざわめきを聞いて過ごしたこともあった


どれもとても心が落ち着いた


リュカにお礼がしたくて彼に似合うようにピアスを作った


自分でもなかなかの出来だった


渡すと彼はありがとうも言わなかった


でもよかった


彼は毎日そのピアスをつけてくれていて、気に入ってもらえているのが分かったから


彼も私もどうしようもなく口下手だった


一日中話さない日もあった


けれど次の日は当たり前のように一緒にいた


不思議な関係だけどとても楽しかった


彼といれば昔の辛い出来事を忘れる事ができた


戦争の時もいつも私を助けてくれた


私は彼に恋をした

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