依頼屋
「昔は好きだった…
注目されて、皆が私だけを見てくれていることが嬉しかった
でも、一番大切な人に裏切られてから変わったの
皆が私の敵になったような気がして…
それから、人目を避けるようになった」
私は広い海を見つめて言った
「へぇ…嘘っぽいね」
「…だよね」
リュウはやっぱり信じてはくれなかったようだ
突然何かがふわりと肩にかかった
「…あんまり外に出てると風邪ひくぞ」
それはリュウが着ていた服だった
はっとして彼の方を向くとリュウはもう、私に背を向けて歩き出していた
…少し信じてもらえたみたいだ
不器用な優しさに口元が緩んだ