依頼屋

びっくりした…


顔、見られちゃったな…


私は自分の顔があまり好きではない


というか、珍しい見せ物のように惜しげもなく見てくる人々が嫌なのだ



「「あ、あのっ!!!」」


知らない二人に話しかけられた


たぶんこの二人もこの船の船員だろう


「あの…!実は自分らリゼリアさんがとても美しいと聞きまして…ぜひ顔を拝見したいと…!」


噂は早いのね…


「ごめんなさい…それはできません…」


逃げようとすると、目の前で土下座された


「お願いです!!一瞬だけでも…!!!」


「あ、あの!お顔を上げて下さい!!!」


どれだけ見たいんだこの子達は…


流石カルロの船員だけあって脅したり、無理やりはぎ取られることはしないのだけれど…


これはこれで厄介だ…


「お願いです!!」


「おいおい、何やってんだお前ら

困ってんだろ

見苦しいにも程があるぞ」


「カルロさん…!はっ…!リゼリアさんすみません!!」


「ごめんな、こいつらも悪気はないんだ」


「いえ、ご期待に添えられず申し訳ありません…」


「いやいや、リゼリアさんは謝らないで下さい…リゼリアさんの気持ちも考えず…浅はかな事を…」


と言ってまた土下座しそうな勢いで謝られた


いい子達だなぁ…


「大丈夫ですよ、カルロさんもありがとうございました」


「いやいや、俺は別に何もしてないよ


それより、そんなに綺麗なら俺も見てみたいなー」


カルロは私を壁に挟んだ


「ぇ…えっと…!!」


「はははっ!なーんてね!うそうそ!まー、見てみたいのは本当だけど、無理にとは言わないよ。それにしても、リゼリアは可愛いね」



「もう!からかうのはやめて下さい!」


なんだ…ドキッとして損した…
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