依頼屋


「リゼリア、嫌なら無理するな」


カルロが去った後、彼は私に言った


「…無理なんかしてない」


「…震えてる」


彼は私の手を包み込んだ


「触らないで!

あんな奴怖くも何ともない!…ぁっ…はぁっ…」




「リゼリア…」


ああ…また彼の腕の中だ


いけないのに…押し返せない…


この鼓動に安心する自分がいる…


私の震えは自然に止まっていた


「…落ち着いた。リュカありがと…でも、本当に大丈夫だから…」


「…リゼリア、何かあったら必ず俺を呼べ。分かったな」


「分かった…ありがと…」



彼は名残惜しそうに手を離し、私に背を向けた


「…よし。」



私は覚悟を決め、ジェイドの元へと歩いた


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