依頼屋
「お兄ちゃん、寄っていかないか」
威勢のいい商人が彼を呼び止める
「リゼリア、ちょっと寄っていいか?」
「うん」
彼は何かを買ったようだった
「ねぇ、何買ったの?」
「ん?これ」
それは赤く食べ頃になった林檎だった
彼はそれをナイフで慣れた手つきで剥く
「どうぞ」
私は裸の林檎を受け取って一口かじった
口の中に甘い香りが広がる
「美味しい…ありがとう」
「そう、良かった」
「ありがとう…リュカ…」
私は泣きそうになる
きっと彼は覚えていてくれてたんだ
私は昔から林檎が好きだったことを