依頼屋
どれくらい歩いただろうか、私達はいつの間にか一座の前に着いていた
私はフードを外し、心のスイッチを入れる
こうすると、私は私でない誰かになりきることができる
自分を空っぽにして、架空の誰かに染め上げる
それを確認した彼は真新しい看板の目立つ
「ルワーノ」と書かれたテントに入った
「あ!きたきた!おーい、団長ー!」
座席を掃除していた茶色の髪をして、
そばかすが可愛いらしい少女が大きな声で呼んだ
中から少し大きなお腹を抱えて団長さんが出てきた
「おお、よく来て下さった。
今日は頼むよ!ええっと名前は…」
「リュカです」
彼は営業スマイルを浮かべて言う
「リゼリアです。
つかの間ですが今日はよろしくお願いいたします」
私も彼と同じ様に笑う