依頼屋



彼女は微笑みながらそう言うと俺から離れていってしまった



また一人だ

俺にはあいつらみたいに身軽で戦う力もない


こんな状況で俺が戦えるわけがない


それにこの砂袋は何の為にあるのか





ふと後ろから馬の足音が聞こえる


相手は俺めがけて矢を放とうとしている


ここは砂漠で周りには何もなく


俺にはそれを避けるだけの乗馬の技術はないし、ナイフも投げられない



怖い


怖くて逃げたい



だけど


俺は生きると決めたんだ


こんな所で死ぬもんか


“無いものをねだらず今あるものを利用する”



利用…

  
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