依頼屋
「ここがサーリアだ」
サーリア国は激しい格差社会だ
貴族の住宅街はトゥルラッカ国と並ぶ程綺麗で洒落ているが
一歩その外に出ると全く整備されていない道路が広がり
路上にはたくさんの子供が暖をとるように固まって寝ている
俺はちらりと彼女を見た
彼女はいつもより深くフードを被っているように見える
…やっぱり何かあるな
「さあ、この辺でお前達ともお別れだ
報酬はこれでいいか」
そう言ってアランは自分の指輪を外した
「トゥルラッカ国でもまれにしか採れないリアンという宝石だ。足りんか?」
俺は指輪をよく観察する
この輝きはまさしくリアンだ
「いや、十分だ。行くぞリゼリア」
返事は無くリゼリアはキョロキョロと周りを見ている
「リゼリア」
もう一度呼んで肩を叩くと驚いたようにこちらを見た
「あっ…ごめんリュカ、もう行くって?」
「…あまりぼーっとするなよ」
「うん、ごめん…」
そう言った彼女はやっぱりどこか変だった