記憶
はじまり
帰宅した弟の足音で目が覚めた私は毎日のように続く悪夢から解放され、ほんの少し安心した。
悪夢のせいか額には大粒の汗。
飲みかけのペットボトルをとり汗を手で拭えば一気に水を飲み干してしまう。
それは、まるで悪夢を忘れたいかのようにも思えた。
思えたというよりも、忘れたかった。
新しく水を入れようとリビングに向かうと「お姉ちゃん、また休んだの?」という弟の声。
名前は 恵太(けいた)。
休んだの?と言う言葉には口にはしないが、お姉ちゃんだけずるい そんな感情も混じっていた。
私は恵太の言葉を無視し、ペットボトルに水を入れるとまた自分の部屋に戻った。
昼から夕方になると目が覚め、やることといえばツイッター。それか我が家のしきたりでもある サボったら家の事をする、という掃除、洗濯、料理。そしてまた寝て起きて。 生きた心地が全くしない それが私の日常だった。
いつ死んでもいいと思ってた。
それが、母の一言であんなことになるとは思ってなかったから。