記憶
それは晩ごはん中のことであった。


「引っ越しするから」

突然告げられたその言葉は、初め理解できなかった。しようとも思ってなかった。
  
どうでもよかった。  

「…へぇ。」

そう呟いて食べ終わった食器を片付ける。  

そのまま、リビングを後にしようとすれば後ろから母の声。  


「今度こそ、学校行きなよ」

その言葉には返事をせず、そのまま歩き出す私は、迷っていた。


学校にいきたくない。
それは、単なるサボりではなかった。

サボりはサボりなのだが、私の場合少し違った。 

あの悪夢の職業体験。
あれ以来、私は男性そのものが、怖かった。
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