たんぽぽ


「あーぁ。これじゃぁ遅刻だな」
「あら、私のせいにするの? いつも社長出勤のくせに」
「いつもお前に会うために学校来てんの。って俺、今一人ですげえクサイこと言ってるよな」


そうやって笑うのもいつものこと。
クラスの担任が鬱陶しいだとか、テストで赤点とったとか、些細な話でいつも私を楽しませてくれる。
同じようには高校にはいけない私に。
みんなと同じようには生きられない私に。
私に見えない世界を彼は教えてくれた。

本当は、彼がくれた世界よりも。
彼の方が、好きで、好きで、堪らなくて。
どうやったらこの想い、伝えられるのだろう。

「じゃぁ、また帰りに寄るからな」

彼の笑う姿が、とても大好きだったの。
だから、あと少し。
あと少しだけ、傍にいたい。


ねぇ、神様。
ずっと、ずっと一緒になんて願わないから。
せめて、彼にこの想いを届けて欲しい。


< 2 / 4 >

この作品をシェア

pagetop