ねぇ、どうして君は【Second】



「俺も手伝うよ」


「貸して」と資料をヒョイと取られ、彼は自分のデスクに座った。





「い、いいですよ!主任は上がってください」



いくら同い年とはいえ、上司は上司だ。



こんな私が任された仕事を、手伝ってもらうわけにはいかない。






「俺が1人桜を残して帰れると思う?」


「……ッ!」




サラッと私の呼び方を変えて彼は言う。





“桜”


異動初日に一度呼ばれて以来、初めて呼ばれた。






「俺、少しはフランス語できるから任せてよ」



「ね?」と完璧な笑顔で言われて、私はもう断れなかった。






「はぁ〜。終わったぁ〜…!」



結局、終わったのは深夜0時過ぎ。



彼が手伝ってくれなかったら、きっと2時までかかっていただろう。




< 20 / 52 >

この作品をシェア

pagetop