ねぇ、どうして君は【Second】
「…いると思った?」
「や、それは…まぁ」
かっこいいし。何でもできるし。
「まぁ確かに、大学生の時に一回付き合ったけどね」
「…っ、」
「でも、すぐ別れたよ。やっぱ桜じゃないとダメだった」
あまりにも真っ直ぐ見つめられて、目を逸らすことなんてできなかった。
「この意味、わかる?」
なんで切なそうな声でそんなことを言うの?
なんでそんなに辛そうな顔をしているの?
「俺、まだ桜が好きだよ」
車のエンジン音も、周りの音も、彼の声以外の音全てが消えた瞬間だった。