ねぇ、どうして君は【Second】
「おっ、やっぱ食いついたか。お前、“フランス”ってワードに過剰反応するもんな」
ニヤニヤと笑う樫本に若干イラついたが、そんなことは今はどうでもいい。
「樫本。その社員の情報、もう少し詳しく知らねぇか?」
そんなことはありえないのに、淡い期待を抱く自分がいた。
「んー俺も噂でだから詳しく知らないけどな。なんでもお父さんが大手会社の重役らしいぞ?」
「名前は確か…」と捻り出している様子の樫本。
「イチイ…、イチカワ…、イチハラ…、イチ…イチ……」
「もしかして、イチノセ?」
「そうそう!一之瀬だ!一之瀬桜!ってあれ、なんでお前知ってんの?」
これを聞いた時、本当に夢かと思った。