ねぇ、どうして君は【Second】
「主任!ありがとうございました!」
「いーえ」
深々と礼をしてくる桜に、なんだか少し胸を痛めつつも笑顔でいる俺。
話せるチャンスは、今しかないと思った。
元々家に送るつもりだった俺は、終電を乗り過ごした慌てる桜を車に乗せる。
最初は歩いて帰ると断っていた彼女も、俺が余りにも押すから渋々といった感じで乗り込んだ。
助手席に乗るように促せば、「ここ、私が座ってよかったんですか?」なんて聞いてくる桜。
「助手席って、彼女の指定席じゃないですか。私なんかが座ってよかったのかなって…」
「………」
どうやら桜は、俺には彼女がいると思っているらしい。