【短編】七夕奇譚
背筋に氷を入れられたかのような悪寒が、全身に広がっていく。
(……こんな事なら、長瀬さんかサキと一緒に来るべきだった………!)
一瞬、戻って呼びに行こうかとも考えたが、
(………大丈夫……!
死体は、歩かないんだから………!)
その言葉を呪文のように繰り返し、再び、ドアノブに手をかけた。
部屋の中からは、相変わらず不気味な音が響いてくる。
(大丈夫、だから………!)
私は、覚悟を決めた。
ひとつ唾を呑み込み、ドアノブをゆっくり回す。
……………そして。
「せーーーーーのっっっ!!」
思いっきり、ドアを手前に引いた………!
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