隠された時代の隠された恋物語
第1章

町人の娘

私は団子屋の娘。

決して、大きなお店ではないが、そこそこ儲かっており生活は潤ってる方であろう。

看板娘として今日も1日頑張ります。

「お団子いかがですかー? 美味しいよ。」

「可愛い嬢ちゃんが言うなら買っていこうか。」

いつもの常連さんが通ったので、声をかけてみたらひっかかった!

おっし! おじさん3人組、GET!!

「ありがとうございますー。」

小さく微笑んでお辞儀して、一番高い商品をお勧めする!

「おすすめは、みたらし団子なんですよ。とっても美味しいですよ?」

「うーん。結構高いね~。」

「そんなことないですよ。味が値段を上回ってますから!」

「柑菜ちゃんがそう言うなら買っちゃおうかな・・・」

ニコリとおじさまの可愛らしい笑みゲット。

これで残りの2人も買うこと間違いなし。

1本590円だから、2本ずつ買ってもらうとして3540円。

これ良い儲けだ。

普通の客は買っても、1000円以内だからね。

やっぱ、この常連さん大好き!

「私は3本もらうよ。」

「私は4本。」

「私は朝食が多くてお腹いっぱいなので、1本にしとくよ。」

おっしゃ。
予想より買ってもらえた。

「1770円でーす。」

「2320円でーす。」

「590円です。」

「ありがとうございましたー!」

3人のおじさんを見送って少しの合間休憩。

こんな朝っぱらから団子なんざ買いに来る輩はあの3人ぐらいだ。

3人が帰れば、お昼まではゆーっくりできるというわけで。

ちょっとつまみ食い・・・

ぱくっ

ん〜! 美味しい!!

自分の父をこれほどまでに団子作り職人でよかったと思うのは団子を食べるときのみだ。

その他はひどい父親である。





「こらっ!」

あ、見つかった。

「つまみ食いはいかんぞ。それはお客様にお出しする商品だぞ。お前はこれでも食うとれ。」

父が出してきたのは団子ではなく団子の粉で作ったうどん。

食べれないほどのマズさではないが、生まれてきてから食事の大半がこのうどんであったことから好きでない。

いや、食べれるんだけどね。

うん。

あまり。

ま、いいや。

さからうと怖い。

「はーい。ありがとう。」

「おう、店番頼んだ。」

「はいはいー。」

「お客さんの中で身なりの良さそうな方がいたらこび売れよ。お前も結婚を考える歳やぞ。」

うわ。言いよった。

最近の父の口癖。

『お前も結婚を考える歳やぞ』

わかっとるわ。そんなこと。

はぁ・・・

好きな人ぐらい、 いますよ!!!

身なり良すぎますけど!

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