俺様王子は子猫がお好き

無意識に玄野くんに飛びつく。



「む、無理…っ、やっ……!」


「ゆ、結菜…?!」


玄野くんの驚いたような声が上から聞こえてくる。


でもそんなことに構っていられない。



「……っ!いやあっ…!!」



音が鳴る度にそんな情けない悲鳴をあげて、ぎゅうっと玄野くんにしがみつく。



じわり、と涙まで浮かんでしまったとき……



ふわり



「大丈夫だから」



耳元で優しい玄野くんの声がして……



「大丈夫、俺がついてる」



ぎゅっと抱きしめられ、あたしは玄野くんの胸の中にすっぽりとおさまった。

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