俺様王子は子猫がお好き
「あたし!玄野くんはほんとに好きになれない!」
玄野くんから一歩離れてそう叫ぶように言う。
玄野くんの顔を見ることはできなかった。
「だ、だってまずタイプじゃないの!あんたみたいな男子嫌い!」
ペラペラと勝手に口が動き出す。
「そ、そんな細い手足とかもやなの!……そう、あたし諒ちゃんみたいな人が好きなんだから!!」
やだ、あたしこんなこと思ってないのに...!
はっと玄野くんが息をのんで、その場の空気が少し冷たくなった気がした。
でもとまらなくって....
「だからあたしなんかほって別の人探して!待たないで!!」
顔をあげることができない。
玄野くんは何も言わない。どんな顔をしてるのかもわからない....
あたしから逃げて。
ばいばい、玄野くん……
夏休みは、もうすぐそこ───