俺様王子は子猫がお好き

「玄野くん……」


「ま、すぐ来るわよ。来たら謝るだけじゃなくてもっかいデートの仕切り直しのサービスぐらいしなさいよ?」


だよね、絶対怒ってるよね玄野くん……


「うん、そうする……」

だけど玄野くんの怒りは、悲しみは、そんなものじゃなかったのかもしれない。


   ☆   ☆   


玄野くんはその日、学校へ来なかった。


その次の日も、またその次の日も……


玄野くんは一度も学校へ来ないまま、夏休みがはじまった……


   ☆   ☆   



「元気だしてよ」

この言葉、綾乃ちゃんとくるみに何度言われただろう…。

あたしを元気づけるため、綾乃ちゃんとくるみが家まで来てくれた。


玄野くんに会わなくなって何日たっただろう。

電話もつながらない。


「あたし……っ」


最近のあたしは泣き虫。
ずっと泣いてる気がする。
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