俺様王子は子猫がお好き
そん、な……
「玄野くんごめんね、あたしは諒ちゃんのことが好きなんだ」
そう言って、結菜は長瀬の胸に顔をうずめた。
「そういうわけだから」
長瀬が鋭い目で俺を見、大切そうに結菜を強く抱きしめる。
「や、やめろ……」
そんなの認めない、うそだといってくれ。
結菜、俺のそばにいてくれ!!
「さよなら、玄野くん……」
☆ ☆
「結菜っ!!」
───あたりには結菜も長瀬もいなかった。
カチコチと時計の針がやけに大きく響きわたっている。
「夢…っ」
はぁはぁと息が荒い。
額には汗がびっしょりで髪がはりついていた。