俺様王子は子猫がお好き

「……っ」


手の甲で乱暴に汗を拭ったとき、コンコンコンと3回ノックの音がした。


「……はい」


なるべく動揺を悟られないよう短く返事をする。


「失礼します龍様」


入ってきたのは運転手の森川だった。


「……なんだよ、俺はどこへも行かねーぞ」


心なしか森川の顔はにやにやしたような嬉しそうな、そんな顔だった。


「違いますよ龍様、もうすぐ結菜様がこちらへ到着されます。ご準備なされませ」


「……は…?!」

驚きを隠せずそんなまぬけな声とともに森川を凝視する。

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