俺様王子は子猫がお好き
3人の後ろ姿が完全に消えると、俺は桜の木の下の段ボールへと近づいた。
ここに猫が捨てられていることは2日ほど前から知っていた。
だが、段ボールにかわいいイラストが描かれていたり毛布が置いてあったりと、
誰かがここで飼っているかのように世話をしているようなのだ。
そんな心優しい人がいるのか
どんな人なのか見てみたくなった矢先、明け方から雨が降り始め、
もしかしたらその人が来るかもしれないと思いついて車を用意させてこの公園へむかった。
するとすぐにあの女の子が来た、というわけである。
みゃあ、と鳴く小さな子猫をそっとなでる。
彼女もこの猫に触れたんだ……
もう一度、彼女に会いたい
そんな思いが沸き上がってきて、俺は子猫をそっと持ち上げた。
彼女が置いていった傘はきれいにたたんで桜の木に立てかけておく。
子猫を抱いたまま俺は急いで車へ戻った。