俺様王子は子猫がお好き
必死に呼吸を整えるあたしの頭をよしよしと撫でてくる。
「結菜」
呟くように名前を呼ばれ、あたしはそっと玄野くんを見上げた。
「……好きだよ、俺の子猫ちゃん」
「……っ!」
な、な、なに言ってんの?!
それになに子猫って!
カーッと音をたてるように顔が熱くなる。
玄野くんの熱っぽい視線から逃れるように顔をそらす。
やだ。その視線やだ。
ドキンドキン心臓がうるさくて顔からはもう湯気が出そうだ。
「こっち向け」
力強くて優しい声がした。
その声に押されるようにまた玄野くんを見上げる。