俺様王子は子猫がお好き
「だめーーーーっ!!」
ドンッ
「ってぇ…」
膝をおさえながらよろめいた玄野くんからあたしは素早く離れた。
足がぷるぷる震えている。
「玄野くんのばかあっ!」
キッと睨むと一目散に教室を飛び出した。
うわああああ
ほてってる顔を冷ますように廊下を走る。走る。
階段をものすごい勢いで駆け下りて、下駄箱を壊れそうな勢いで閉める。
もう玄野くんなんて大っきらいだああ~!!
校門を飛び出してしばらくがむしゃらに走ってから、ふと立ち止まった。
「はあっ…」
胸をおさえる。このドキドキは走ったからじゃない。
だってそれどころかバクバクいってふらふらとめまいもする。
「玄野くんなんて ……きらい」
ぽつりと呟いたその声は、真っ赤な夕焼け空に消えていった。
走ってきた道をそっと振り返る。
いま、玄野くんはなにを考えているのだろう。