俺様王子は子猫がお好き
「ほら、行くぞ」
「あ、綾乃ちゃあん……!」
ずるずると玄野くんに連れられていく結菜を見て
諒吾がははっと笑った。
「本当、かわいいよな。結菜って」
ズキン…
諒吾の言葉は注射針のように一瞬、私の胸を刺した。
「諦めれねー…」
去っていく2人を悲しそうな、でも愛しそうな顔で見つめる諒吾。
そんな顔、しないで…。
「む、無理に諦める必要ないと思うけど?!」
心にも思っていない言葉がつい口から飛び出した。
「えっ?」
諒吾が驚いて私を見る。
「好きって気持ちはなかなか消えるもんじゃないでしょ?」
でもこれは、私の気持ちでもある。