100通目のラブレター

「痛っ」

私が弱気になった瞬間、海斗は私のおでこをデコピンした。

「何すんっ」


ムカついた私がやり返そうてして手を上げ、海斗のほうを見ると…

「…っ!!」


海斗は、
今までに見たことがないくらい優しい笑顔をして、私を見ていた。



「…?」

「葵なら、大丈夫だよ。
チームメイトを引っ張っていかなきゃいけないからって、力まなくていい。
葵のペースで、葵らしく引っ張っていけばいい」


「!!」


心を、掴まれた気がした。

小さい頃、あんなに泣き虫だったのに、
私より小さかったのに…。
いつの間にか背も私を追い抜いて、たくましい“男”に成長していた、海斗。



< 22 / 65 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop