100通目のラブレター
「お疲れ〜」
「お疲れ様」
その日は、いつにも増して練習に力が入っていて、若干終了時刻を過ぎてしまった日だった。
いつものように、澪と海斗の部活が終わるのを待とうと、外に出るために靴箱を開けると、
パサ……
「??」
1通の手紙が落ちてきた。
不審に思って拾って見てみると、『上野葵さんへ』と書かれていたけど、
差出人の名前はどこにもなかった。
「ん?何それ?」
と、隣にいた澪が聞いてきたから、
「手紙みたい…」
って返すと、
「あ、ラブレターか」
と言われたから、差出人の名前がないことにどこかで納得がいって、とりあえずその手紙をカバンの中にしまって、家で読むことにした。
…そう、これが私達のいわゆる『文通』の始まりだった。