100通目のラブレター


だけど、
どうしても声をかけたかった私は、海斗が家に帰ってきたのを見計らって、海斗の家を訪ねた。




♪ ピンポーン

ガチャ…

「海斗」

私が扉を開けて出てきた海斗を見て声をかけようとすると、
海斗はどんどん涙目になって、

「俺っ…負けちゃって…」

って言いながら、ゆっくり私に近づいて、私を抱きしめた。


「グズッ…勝ちたっかっ…たっ…」

「っ!!」


それは、
あの日私が相手チームの歓声を聞きながら心の底で強く思ったことと同じだった。

だから、
抱きしめられて内心凄く驚いたけど、私もあの大会の日の辛さが蘇ってきて泣きそうになったから、

海斗を強く抱きしめ返して、


「うん…。
でも、海斗凄くかっこよかった」


って、
精一杯の声をかけた。

「グズッ…」

「海斗…。海斗、2年間お疲れ様でした」

「…サンキュ…」



小さくつぶやく海斗が、どこか無性にかわいく思えて、私は更にしっかりと海斗を抱きしめた。




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