100通目のラブレター
不意に頭を撫でられて、笑顔を向けて帰って行く海斗の背中に、
「バカ」
ってつぶやいた。すると、聞こえていなかったはずなのに海斗が振り返って、
「葵!」
「ん?」
「葵の言いたいことって何だったの?」
なんて、言った本人すら忘れていたことを言った。
「バーカ!」
「はぁ?なぜに急にバカや(笑)」
「バーカバーカバーカバーカバーカっ」
…好きだ、バカ。
「ははは、じゃな」
私達は、もうすぐ起こる不幸なんて全く想像できないまま、お互いの家に帰った。